最古の「座右の銘」

記録に残っている最古の座右の銘は、後漢の詩人、崔瑗(さいえん、崔小玉、Cui Yuan, 77-142 A.D.)の「座右銘」だと言われています。また日本ではそれを空海が書写したものが知られているようです。
もともとが中国の古い漢字で書かれたものなので、日本人の知らない文字も入っていますが、福島大学の教育学部で研究をされていた須田哲夫先生の論文をもとに、その他のウェブサイトも参考にしながら「座右の銘」の漢文、日本漢字文、書き下し文、現代日本語訳を作りました。なぜそんなことをしているのかと思われる方もあると思いますが、今、書道をしていて、そのお手本となる良い言葉や文章を探しているというのがその始まりです。
でも、その内容に引き込まれたということはあります。仏教の教えがもとになっているのかもしれません。ブッダの教えと重なるところが多いです。
崔瑗(さいえん)「座右銘」日本漢字
崔瑗(さいえん)「座右銘」書き下し文
崔瑗(さいえん)「座右銘」現代日本語訳
崔瑗(さいえん)「座右銘」漢文
参考文献:
須田哲夫教授
日本書学館 全国書道展(2020)
今日の漢文
Kumaさん
師仁さん
無道人之短
無説己之長
施人慎勿念
受施慎勿忘
世誉不足慕
唯仁為紀綱
隠心而後動
謗議庸何傷
無使名過実
守愚聖所蔵
在涅貴不緇
曖々内含光
柔弱生之徒
老氏誡剛彊
行々鄙夫志
悠々故難量
慎言節飲食
知足勝不詳
行之茍有恒
久々自芬芳
人の短所は言うな
自分の長所は自慢するな
人に施した恩をいつまでも覚えているな
人から受けた恩を決して忘れるな
世間の名誉を得ようなどとは思うな
ただ仁を心の寄り所にせよ
心の中で十分考えてから行動に移せ
そうすれば人の誹謗に心を傷めることもない
実力以上の評判がたたないようにせよ
愚直を守ることは聖人も奨励している
どす黒い環境にあっても染まるな
暗愚なようで内に輝きをもて
柔軟さこそがこの世を生きる道
老子も剛強を戒めている
気が強く愚かな男の欲は
際限がなくはかりしれない
言葉をつつしみ暴飲暴食をせず
足りることを心得ておれば災いにも勝てる
以上のことを常に行えば
長い間おのずから香り続けるであろう