『トムソーヤの冒険』の中の黒人差別1

『トムソーヤの冒険』の中の黒人差別について
1.黒人の話し方に短縮、綴り間違い、文法間違いを多用する
トムの家の奴隷ジムが話す様子です。黒人英語には独特のアクセントがあるのは間違いないのですが、それが綴り間違いで表されています。教育を受けていない(特に)アメリカの黒人を描く時にこの表記が使われるようです。
日本人も英語の発音やイントネーションを間違いますが、そのたびにスペリングミスで書き表わされたらどう感じるでしょうか。また、アメリカの白人も地域によって強いアクセントを付けて話しますが、これほどあからさまに違った表記をされることはありません。
作者のマーク・トウェインがこの表記をどれだけ意図的に使ったか分かりませんし時代が時代でしたから、作者や作品を責めるのはおかしなことなのかもしれません。当時の様子を知る貴重な資料と考えることもできます。でも現代においてこの表記を使い続けるのはとても差別的だなと思います。そして黒人の読者はとても悲しい気持ちで読むのではないかと思います。
ちなみに日本でも外国人の日本語を「ワタシ、ニホンゴ、ワカリマセン。」のように、間違っていないのにカタカナで表記することがありますが、これを多用して面白がるのは一生懸命日本語を勉強している方に対して大変失礼だと、外国語を学ぶ私は思います。
【引用部分】
Chapter 2 Strong Temptations―Strategic Movements―The Innocents Beguiled
Can’t, Mars Tom. Ole misses, she tole me I got to go an’ git dis water an’ not stop foolin’ roun’ wid anybody. She say she spec’ Mars Tom gwine to ax me to whitewash, an’ so she tole me go ‘long an’ ‘tend to my own business―she ‘lowed she’d ‘tend to de whitewahin’.”
“Oh, I dasn’t, Mars Tom. Ole missis she’d take an’ tar de head off’n me. ‘Deed she would.”
“My! Dat’s a mighty gay marvel, I tell you! But Mars Tom I’s powerful ‘fraid ole missis-”
【言葉】
Ole misses:Old Mrs. ~夫人
Mars:Master、ご主人
tole:told
dis:this
an’ :and
git dis:get this
wid :with
gwine:going
de:the
‘long an’ ‘tend :along and attend
I dasn’t:I doesn’t (I don’tの間違い)
I’s:I is (I amの間違い)
off’n:off on
‘Deed:Indeed
Dat’s:That’s