『トムソーヤの冒険』の中の黒人差別3
『トムソーヤの冒険』の中の黒人差別1 、『トムソーヤの冒険』の中の黒人差別2 に続いて、黒人差別について見ていきます。
3.黒人を嘘つき呼ばわりする
トムとハックが「イボを取るには猫の死体を使った呪文が効く」とか「木の幹のくぼみに溜まった雨水が腐ったものが効く」とか、「自分は試したことが無いけどボブ・ターナーが試したらしい」などと話をしています。その後の会話です。
トム：それ誰に聞いた？
ハック：ボブがジェフに話して、ジェフがジョニーに話して、ジョニーがジムに話して、ジムがベンに話して、ベンが黒（ニガー）に話して、黒が僕に話した。
トム：だから？黒以外みんな嘘つきばかりじゃないか。それにその黒のことは知らないけど、嘘をつかない黒なんて見たことないよ。まったく！それでボブはどうやったって？ハック。」（引用元：『トム・ソーヤの冒険』柴田元幸訳、新潮文庫）
「その黒人のことは知らないけど、みんな嘘つきじゃないか」と言った後で「でも黒人もみんな嘘つきだから」と付け加えて、「その呪文は信用できない」と言っているんですね。
当時は子どもたちが当然のように黒人奴隷を見下して、とても軽い口調でこのような発言をしていたのでしょう。昔のお話だとしても、現代の黒人の子供たちが読んだら悲しい思いをするでしょうね。
【引用部分】
Chapter 6 Self-Examination ―Dentistry ―The Midnight Charm －Witches and Devils ―Cautious Approaches―Happy Hours
Huck: “Why, he told Jeff Thatcher, and Jeff told Johnny Baker, and Johnny told Jim Hollis, and Jim told Ben Rogers, and Ben told a nigger, and the nigger told me. There now!”
Tom: “Well, what of it? They’ll all lie. Leastways all but the nigger. I don’t know him. But I never see a nigger that wouldn’t lie. Shucks!Now you tell me how Bob Tarnner done it, Huck.”
